本編(リレー企画)

ヘルズ ドミニオンズ 復讐のコア:第十三話

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詠羅さん原案でのリレーシナリオです。

前回の話

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ヘルズ ドミニオンズ 復讐のコア:第十一話
ヘルズ ドミニオンズ 復讐のコア:第十二話

第十三話

著:詠羅さん&ロディ山



「全DEM部隊が殲滅モードに移りました」
「第一バリケード突破されます!」

司令塔にある飛空艇にて、キリヤナギとベリアルは戦場でそれを見ていた。
向かってくる大量のDEMたちは、その身を武器としてレジスタンスを追い詰めている。

その中で、キリヤナギのナビゲーションデバイスに一つの通信が入った。
それをみてキリヤナギは一歩前に出る。

「全部隊員に告げる。今、この場に置ける殺戮DEMたちの全てを殲滅せよ!!」

通達からそれまでは一瞬だった。
地上に降り立ったセオやその部下達が、押し寄せて来るDEM達を星の雨で殲滅し、残ったDEMをホークアイ達がミラージュで落とす。
また、狙いきれなかった敵をコウガを含めた近接系が破壊し始めた。
そんな様子を、スィーとリュスィオールともが上空の飛空艇から静観する。
だがカナトは、見ている余裕もなく必死にキーボードを叩いていた。

「カナトさん。大丈夫ですか?」
「もう少しだ……」

まるで暗号のような文字の羅列。
書いていた説明書は、非常に高度なものでスィーと共に読み解いた。
数百年前にミカエルが行ったものと同じ事が通じるかは判らないが、

「通った!!」

回線が繋がり、用意されたシステムが流し込まれる。
送り込まれたプログラムは、光の速さで浸透し、DEMの中枢まで溶けた。

途端ありとあらゆるDEM族が止まり、動きがおぼつかなくなってゆく。
前に出た前衛達が、その一瞬をつき殲滅を開始した。

押し返すかに見えた戦場へ、機器が突然警告音をならす。

「緊急、アイアンサウス方面から、敵機確認。新手です」
「なんだと……! 」

「改革軍は?」
「分かりません。鉄火山エネルギープラントから、飛行型DEMが生産されこちらに向かっています」

「負けたのか……。くそっ」
「リュスィオール。部隊の城へ連絡、すぐに出撃させて」
「!? キリヤナギ……」
「時は一刻を争う。後ろを取られてはいけません。レジスタンスもできる限り加勢を」
「……分かった。頼む」

「DEMの出現ポイントは、鉄火山火口。飛行型DEMが真っ直ぐにこちらへ向かっています」
「砲撃戦か。部隊の戦空挺は3機しか用意が無い。一機50名が限界です」

「レジスタンスの庭を使うといい。大型の旗艦が5機、100名は乗れるだろう。あとは生産ルートだが……」

「入り口を塞げばいい」

グランジの唐突な発言にキリヤナギが振り向く。
いい出したのはそう言う意味だ。

「何、暴れたいの?」
「違う」
「君はカナトの護衛。入り口の破壊だけなら、アストラリスト1人入れば十分」
「狙えないだろう? 改革派が巻き添えを食らえば、帰れなくなるぞ」
「やっぱり行きたいんだ? あれだけまずいまずい言ってたくせに」

「あの、キリヤナギさん」
「? ロード?」
「僕、グランジさんと行きます。何が出来るかわからないけど、何かしたい」

キリヤナギがジト目でグランジを睨む。
振り向いてカナトを見ると、聞こえないフリをしている。
キリヤナギの知らないところで、何かあったらしい。

「ロードはホークアイだっけ?」
「はい」
「ヒット・コミュニオン使える?」
「はい」
「スコープ無しで空中の敵は狙撃できる?」
「は……」

何を言い出すのかと、ロードは混乱した。
空中の敵など、狙えるわけがない。

「俺ができる」
「君に聞いてないんだよ。僕の言いたい理由わかるでしょ?」
「敵の本陣が目の前にある状況下で、戦力を削ぎたく無い」
「そうだよ。新しい敵が出てくるかもしれない。君は僕の切り札だ。居てくれないと困るの!」
「なら1時間で戻る」
「あのさぁ……」

「グランジと言う一つの戦力を、公にしたく無いか、意地をはると裏目にでるぞ。キリヤナギ」
「君のワガママに付き合わされる僕の身にもなってよ」

グランジはじっとしてキリヤナギの指示を待っている。
暴れたいのかと聞いて、違うと述べた彼は、ただ力を振るいたいだけではないらしい。
ただ戦いたいと言う意味ではなく、別の動機がグランジを動かしているのだ。
それが、冥界の貴族パラベラムの末裔とくれば、自ずと流れは見えてくる。

「1時間でできるの?」
「派手になるが」
「穏便になら?」
「わからない」

本当に言うことを聞かない騎士だと思う。
しかし、何も言わず勝手に行かれるよりかはマシだ。

「1時間で穏便に済むなら、いってきていいよ」
「分かった」

ここまで信頼出来ない即答も珍しい。
しかし、対面するDEM族はウィルスで動きを鈍らせている。
このまま生産ルートもフリーズすれば作戦通りだ。

「目標は飛行型DEM本隊だ。全て撃滅し鉄火山エネルギープラントの排出口を塞ぐ。レジスタンスの戦空挺に乗り迎え撃つ!!」



※※※



ジンが連絡を入れて3分。
それが起こった。起動していたありとあらゆるシステムが点滅し、異常を訴えはじめたのだ。

「なんだ!?」

ジブルが必死にキーボードを叩くが、警告が止まらない。
ありとあらゆる伝達システムがフリーズしてゆき、命令がだせないのだ。

「ばかな……。一体何が……」
「ウィルスだよ!」
「は……」
「よくわかんねぇけど、パソコンも病気になるんだろ……!」

ジブルが呆然としてジンを見る。
詳しくは知らない。
カナトに言われたのはパソコンに風邪を引かせると言う事だけだった。
だがジブルはそれに納得したのか震えだし、此方を睨みつけてくる。

「この雑魚ども・・・」

ジブルは自身のロボに、DEM・マザーとのドッキング解除命令を出した。
可変してたたまれていた脚部やアームが引き出され、元の騎乗ロボにもどっていく。

再び地面に降り立ったジブルのロボは、ジンに狙いを定め突撃を開始した。

「こんなことで、終われないんだよ!」
「させるかっ、リミッド・・・イクシードッ!」

ジンに向けて突進していくロボの真横に、同じような鋼鉄の巨体がぶち当たった。
ロディと彼の半壊しかけのロボが、その機体に残されたすべての力を使って特攻をしかけたのだ。
全身から緑の炎を吹き上げながら、ジブル機を壁に叩きつけ、すさまじい衝撃と振動が、両者を襲う。

「邪魔だ! このガラクタぁ!」

めり込んだ壁の中から、パワーアームが伸びてきてロディの機体を貫いた。
ルピナスとの戦いの傷を、さらに深くえぐられる。
同時に機体から立ち上っていた炎が薄れて消えていった。
限界以上の力を出し、致命傷だった傷をさらにえぐられて、ついに機体は力つきる。

「ごめんな、ガンウォーク。あとで、ちゃんと治してやるからよ」

ロディはいとおしそうに自機のインターフェイスをなでる。
何も写らなくなった計器類の画面に、自分の銀髪が映り込んでいるのが見えた。

「雑魚は……雑魚らしくやられろってんだよ」

ふらふらと、よろめきながら立ち上がるジブル機は、弱々しく、最初に対峙したときのような恐怖は感じられない。

「そいつはもう限界だ。諦めろ」
「死ね、お前たちは死ねぇえええ!」

ロディの話など聞こうともせず、ジブルは力まかせに操縦桿を押し倒す。
よたよたしながらも、アームを振り下ろそうとしてくる強化外装ロボ。
唸りをあげて迫ってくるそれを、ロディは動かなくなった愛機の操縦席から眺めている。

「ロディさん!!」

とっさにサラマンドラを構えるが、ロディの見つめている先にいる存在に気付き、ジンははっとした。

「ばーか、真正面から突っ込んできやがって」

ロディは勝ち誇った顔をして、さっきジブルが言ったのと同じ言葉をそのまま返す。
突如、連続した銃声が響いてジブルの強化外装ロボが揺れた。

「なにぃっ」

驚いて振り返ると、背後を取ったヒルダが強化外装ロボの背後にあるエンジン部分に照準を定めている。

「ソニックブレイカーっ!」
「!!」

ヒルダは迷うことなく、エンジン部分に向かって渾身の一撃を放った。
音速の壁を越えるほどの速度で打ち込まれる、必殺の一撃。橙色の腕についた白い爪がエンジン部分をぶち抜く。

途端、流し込まれた燃料が行き場を失い引火。
爆発が起こった。赤とオレンジの炎が、オープンサイトを覗いていたジンの視界を奪う。一瞬の出来事に反応が遅れた。次の瞬間には相当な爆圧と破片がこちらに迫ってくるはず。

とっさに腕で視界を遮り、目を保護しようとしたときだ。
後方から、何かが走り迫ってくる音が聞こえてきた。
狼のルナだ。ルナは軽い身のこなしで、背後から一足で飛び越え、ジンの正面に周る。

「ルナ」

ジンが狼の名を口にしたときには、すでに彼の腹部には狼の全体重が加速度を増して直撃していた。狼はその勢いを殺すことなく、爆圧の速度に負けじとジンを引きずって姉妹の元へ走る。

「こっちよジンさん、狼さん!・・・きゃっ」
「ぐぇ」

ジンと狼が突っ込んできたのを、クローバーとフリージアが必死に受け止める。ジンは決して体重のある方ではないものの、勢いをつけて放られた成人男性(それと狼)を受け止めるのは少女二人には荷が重かったらしい。受け止めたところで一緒に倒れこんでしまう。三人そろって目を回しているところに、容赦なく爆風が迫る。

「伏せろ!顔を隠せ・・・くっ」

三人と一緒に倒れこんでいたはずの狼だが、すっと立ち上がると光に包まれ、背の高い白髪の成人男性に変化した。そのまま三人に覆いかぶさって、肌を焼く熱風と細かな破片から彼らを守護する。

「うっ、うーん。あれ、さっきまでの狼さんは・・・え?え?」
「ど、どういう・・・あっそうかあなた新型のお仲間さんなんですの?」
「話はあとだ、ともかくケガはないか。それと、あれこれ触るのはやめてくれ」

ルナの人化に、理解が追いつかないのか姉妹は突如現れた白髪の青年を不思議そうな眼で見つめ、頬を触ってみたり髪を引っ張ったりし出す。放っておくとおもちゃにされかねないので、ルナはさすがに一言注意した。しかし目の前にいた犬がいきなり人に変わったら、そりゃあ誰でも驚くはずだ。姉妹がこのような行動をとるのも、無理からぬことかもしれない。

「ごめんなさい。つい・・・あ、私たちよりも」
「その、ジンさんはどうなんですの?なんかいまだにピクピクしてますけども」

姉妹はルナに謝りつつ、視線をいまだにノビているジンに戻す。
そうとう強くぶつかったからか。みぞおちのあたりを抑えながら、体を曲げて蹲っている。
よく見ると、眼の端に涙が浮かんでいた。
人化したルナは、ジンの顔を覗き込む。

「すまん。やりすぎた」
「い、いだい・・・」

ジンは痛む腹を押さえ、呻きつつも体を起こす。
主人たちを護るためとはいえ、強くぶつかっていったことにルナは少なくとも罪悪感を感じていたのかもしれない。ジンの状態を見て、内蔵にダメージが無いことを確認し終えると、ルナの険しかった表情が普段のものに戻る。

彼の体に外見的には損傷はないが、それでも降りかかる爆圧と破片を一人ですべて受けたのだ。体を構成している魔力を少しばかり消耗したのだろう。

「ありがとうな。あとはこっちでなんとかするから、また二人のこと頼む」
「了解した」

間一髪で爆風を回避できたのはいいが、もう少しましな方法なかったのだろうか・・・ジンはまだじりじりと痛む腹部をさすった。
そんな彼の心境を知ってか知らずか、指示をうけ人の姿からまた狼に戻ったルナはとぼとぼと姉妹の元に戻っていく。すると先ほど注意されたばかりだというのに、姉妹は再び狼に触り始める。今度は抗議の声・・・いや鳴き声を上げるのもだるいらしく姉妹にされるがままになっていた。

「ロディさん、ヒルダさん。大丈夫っすか!?」

ジンは残り二人の安否を確認する。自分よりも爆心地に近いところにいた二人のことが気になる。
すると見慣れた茶色の髪と、銀髪が視界に入った。

「おう、問題ナッシングだぜ」
「あたしも大丈夫だ」

ヒルダは自身の大きな腕を盾にして爆圧をやり過ごしているし、吹き飛ばされたロディも自身の愛機を盾にして難を逃れている。
二人の無事が確認できて、ジンは胸をなで下ろす。

対照的にエンジン部分失ったジブル機は悲惨なものだった。
動力の根源を失い、爆圧でひしゃげたパーツがあちこちに散乱している。どれもこれも煤まみれな上に判別もつかないほどにぐしゃぐしゃになっている。もはやかつての面影はない。ただ操縦席周りのみが、セーフティシステムで守られていたのか無傷だった。
傾いた操縦席からジブルが吐き出されて地面に転がる。

「くっ、ちくしょおおお!」

衝撃にしびれる頭を振るうと、ジブルは短剣を持ってジンへ走る。
もはや自分の置かれている状況さえ、理解できていないようだ。
向かってくるジブルに、ジンは一つ感想する。

遅い。
演習でのロボ乗りは、みなロボが落とされても動けるのに、ジブルは真正面から突っ込んできた。
お粗末すぎて、ジンは受けるフェイントから足をひっかける。
ナイフを持った手を掴んで投げたあと、足を打った。
そして武器を持った手首を踏みつけ、額に銃口を向ける。

「物に頼らないと何も出来ないあんたに、誰かを馬鹿にする資格はねぇ」

ジブルは話を聞いた様子もなく、痛みで喘いでいるだけだった。





つづく
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