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本編(リレー企画)

ヘルズ ドミニオンズ 復讐のコア:第十話

 ←ヘルズ ドミニオンズ 復讐のコア:第九話 →ヘルズ ドミニオンズ 復讐のコア:第十一話
詠羅さん原案でのリレーシナリオです。

前回の話

ヘルズ ドミニオンズ 復讐のコア:第一話
ヘルズ ドミニオンズ 復讐のコア:第二話
ヘルズ ドミニオンズ 復讐のコア:第三話

ヘルズ ドミニオンズ 復讐のコア:第四話
ヘルズ ドミニオンズ 復讐のコア:第五話
ヘルズ ドミニオンズ 復讐のコア:第六話
ヘルズ ドミニオンズ 復讐のコア:第七話
ヘルズ ドミニオンズ 復讐のコア:第八話
ヘルズ ドミニオンズ 復讐のコア:第九話

第十話

著:ロディ山



「そうか、君たち二人の事情は大体わかった」

足元で痙攣しているリーダー格の男の頭を、思い切り踏んづけながらジンが少女に言う。

周りを見回せば、破損したDEMや呻き声を上げるドミニオン兵があちらこちらに転がっている。眼を輝かせてDEM兵や、ドミニオン兵をちぎっては投げちぎっては投げをしていたロディとジン。それに仕方が無いといった様子で、撃ちもらした敵を倒して回っていたヒルダと狼。爆風から逃れた一部の兵が反撃に転じようとするも、あらゆるものを貫き通す音速の一撃と何者も切り裂き引きちぎる獣の牙が、彼らを逃さない。

青い光で淡く照らされている空間が、死に体の山で埋め尽くされるのにそんなに時間はかからなかった。狼が、動かなくなったことを確認するためかDEMを足で小突きまわして反応を見ている。ヒルダはというとそんな狼の頭を爪の腹でなでていた。

「私たちでしか分らない隠し通路やコントロールルームも、全部掌握されてしまった」
「もう、私たちにはどうすることも出来ないですの」

彼女たちは、自身に起きた事をぽつぽつと語っていく。

彼女たち、クローバーとフリージアはルピナスと同様、マザーが自ら製造した特別製のDEM。製造させる全てのDEMを、旧支配者の指令「我ら以外のものの殲滅」から解放するために活動していたのだという。そして旧支配者のシステムに抗い続けた末に、ついに管理権限を奪還するためのプログラムが完成。マザーとルピナスたちと喜びを分かち合っていたときに、現れたのはジブルだった。彼は姉妹たち二人を捕えて人質にし、マザーと彼女らを守護するために作られた戦闘用機ルピナスを無力化。マザーを破壊しコアのある頭部を手に入れた。しかし、マザーは最後の力を使い姉妹と自身のコアを強制転送した。コアにはそれぞれに仮の入れ物を用意し、利用されぬように逃げるように指令を下して。

「ルピナスは、マザーや戦闘向きじゃない私たちを護るために作られた戦闘用の機体なんです」
「でも、ルピナスもかあさまも何もできなかったんですの......あたしたちが人質になったせいで......」

姉妹たちにも、それぞれのコア同様逃げるように言ったものの、ルピナスだけはその言葉を受け入れず一人立ち向かっていった。結果は...彼女がジブルに利用されているところを見るに、失敗に終わったのだろう。その後、転送によって難を逃れた二人であったものの、そのまま逃げることを二人はよしとはしなかった。

彼女らは自分たちしか知りえない裏道や介入方法を使い、メインルームに居座るジブルの部下たちに向かって、日夜妨害を繰り返した。部屋の室温コントロールをめちゃくちゃに弄って極寒にしたり灼熱にしてみたり、エネルギー生成ジェネレーターを破壊してみたり、メインルームに即席のウイルスを流しこんでみたり等々......まるでただの嫌がらせのようにも感じられるが、彼女たちは彼女たちなりに必死に抗った。・・・だがそんな抵抗もあるときを境に、まったく通用しなくなる。それだけではなく、彼女たちしか知らないはずの裏道やサブルームにまで敵が押し寄せたのだ。

こうして二人は、ジブルの部下と彼らの配下になったDEMに追われデムロポリス内を逃げ回っているうちに、ジンたちと出くわしたのだった。

「あたしたちだって、ただやられっぱなしでいたくなかった!ルピナスのことも気になっていたし......」
「二人してこっそり戻って、できる限りのことをしていたんですの」
「でも、あたしたちじゃ、結局なにも......」
「ごめんなさい、ルピナス、かぁさまぁ」

事の顛末を話し終えた少女二人は、絶望しきった顔をして頭を抱え膝をつく。

「ジブルの野朗っ」

ロディが怒りを含んだ声色で呟いた。操縦桿をギリギリと握り締める音がする。

「よしっ、安心して。俺たちが必ずジブルのやつをぶっとばして、マザーやルピナスを助けてあげるから。君たちは地上へ」

ジンが二人の頭を撫でながら、安心させるように言うがその言葉はさえぎられた。俯いたままだった二人の顔が、急にジンの方を向く。その眼にはまだ涙が溜まっていたが、何か強い意志の力が宿っていた。

「まって、お願いあたしたちも連れて行って!」
「このまま、何も出来ないままなんていやですのっ」
「ああ、うん。気持ちは分るけど......」

服の裾を引っ張り、すがりついてくる二人に困った顔をするジン。

(何も出来ないなんて嫌......か)

まったく今日は良く似たような想いを抱えた人間(彼女らはDEMだが)に会う日だ。ロディの方を横目にみる。ロディのほうはというと、何かを考えているように腕組をしているだけ。また、めちゃくちゃなことを言い出したりしないだろうか。ジンは気が気でない様子で銀髪の男を見ている。

ここにいるロディ、ヒルダ、そして自分。自分たちが単独で敵の本拠地に乗り込むという大役をまかされたのは、単にロディのわがままが通ったからというわけでもない。一応、乗り込む際に戦力として機能しこの三人でメインルームの制圧も可能であると踏んだからだろう。話を聞くに、この二人は戦闘向きの固体ではないらしいし、この先ジブルのどんな罠が待っているかもわからない。それにやつの部下がここに転がっているので全部という確信もない。

そんな状況下で、いたいけな少女二人を護りながら戦うというのはどう考えても現実的ではない。正直な話をすれば、まずは自分たちのうちの一人に彼女たちを地上まで届けさせるのが正しい。

「この先あいつがどんなことをしてくるかも分らないし、君たちのことを気にしながら戦えるほどの余裕をあいつが与えてくれるとも思えないんだ。だから......気持ちはわかるけど、君たちは地上に」

その’正しい選択’を言おうとするジンだがこういう状況でめちゃくちゃを言い出す人間が、黙っているはずはなかった。

「わかった、一緒に行こう」

ロディの発言を聞き、ジンはため息をつく。

最初、彼女たちに助けを求められたときに、本能的にロディの行動に乗った自分が言えることではないかもしれない。出来ることなら自分もロディの言うようにしたい気持ちもある。しかし、ここは彼女たちの安全を一番に考えるべきではないのか。

「あのさ、ロディさん。さすがにそれは無茶っすよ。いや俺もそうできたらとは思うけど、この先のこと考えたら危険すぎる。彼女らの安全を優先するべきじゃ」
「......君たち、ひょっとしてこうなること予想してなかった?」

ジンを無視して、ロディは彼女たちに問いかける。

「え」
「さっき君たちにしか分らない隠し通路とかあるって言ってたよね。俺たちの誰かがついて地上まで送ろうとしても、隙をみてそういうところに入り込んでマザールームへ隠れて乗り込もうとか、そういうこと考えてないかな」
「そ、それは......」

ロディの鋭い指摘に、言いよどむクローバー。その顔から、完全にそういう腹積もりであったことが伺えた。

「これから先のことを考えればだ。ジン。俺たちの目の届かないところでこの子たちにこそこそされればそれこそ危険が及んだときに対処できなくなる。それに、地上への護衛にこの中の一人をつけることになれば、ジブルに対抗する戦力が一人減ることになっちまう。この少数精鋭で、一人が抜けるってのがどれだけ大きいことかは分るよな」
「そりゃあ......まぁ」
(あれ、以外と考えている?)

ジンは呆けた顔をして、真面目な顔をしているロディを見る。

たしかに彼がいう事もわからないわけではない。さっきの二人の顔を思いかえす。どの道勝手に来るなら、拒んでも意味はない。ならばいっそのこと眼の届く範囲にいてもらったほうが護れるのではないか。

左上の辺りに視線を移し、考え込むように顎に手を置く。それを見守っている二人の少女。ふと二人の頭に、以外なほど無骨な手が乗っけられる。いつの間にかロボから降りていたロディが、隣に立っていた。

「それに、かわいい子のお願いはなんとしても聞いてやらなきゃ、なっ!そう思うだろジンっ」
「え、えええー......」
「「お願いします!」」

前言撤回、やっぱりこの銀髪の男は何も考えていない。なんだか頭が痛くなってきたと、ジンは額に手をあてて上を向く。

ジンの言葉を待つ二人の少女の顔は次に出てくる言葉を、きらきらとした瞳で待っている。助け舟を求めて、ヒルダと狼のほうに視線を向けた。しかし、ヒルダは肩をすくめて呆れ顔。狼は興味もないのか、倒したDEMの上に乗っかって、丸くなっている。

さっきから向けられている期待した二人の視線が、痛い。もう、腹をくくるしかないらしい。

(......あれ、突入の前にそんなものは済ませたはずなんだけどな。)

「わかったよ。わかった。君たちも一緒に行こう。ただし、俺たちの指示には従ってもらうからね。良いかい」
「「はい!」」
「ほらな、こいつは良い奴なんだよっ」
「......」

二人の少女がうれしそうに返事をする。やっぱりそうじゃなきゃ、とでも言いたそうにロディはわざとらしくジンの背中を手のひらでバシバシ叩く。

その後、少女たちをロボの操縦席へ意気揚々と案内するロディを見る。立ち上がったロボに驚き、ロディの服にしがみつく少女二人。両手に花といった様子で、満足そうな顔をしている銀髪の男を眺めながら、ジンは隣に来ていたヒルダに聞いてみる。

「あの、ヒルダさん」
「なんだ」
「ひょっとして、ロディさんって’そういう趣味’だったりするんすか?」
「あの馬鹿。前に言ってた。ストライクゾーンが広いだけだって」
「それって......なんかもうどうでもいいや」

もう何かを言うのも面倒になって、ジンはため息を吐く。

二人のあきれた視線にも気づかず、うれしそうな顔をしているロディ。それを睨んでいるヒルダに彼はもちろん気づいていない。隣にいたジンが、少し気おされて離れた。こりゃ後でどうなるかわかったもんじゃない。ヒルダにあの男がコテンパンにされるところが、容易に想像できる。

......いままで散々振り回された腹いせに、そのときはゆっくりと傍観させてもらうとしよう。
そう決めると、ジンは動き出した騎乗ロボや狼たちを追って歩みをすすめる。



※※※



「ここが、マザールーム......」

先行していた狼が遠吠えを一つして、主人たちを迎える。狼を追う形で、やっと目的地に到達した一行は、各々に部屋を観察している。

元々、そこにいたクローバーとフリージアには見慣れた場所ではあるものの、それ以外の者たちにとっては初めての場所である。珍しがるのも無理は無い。通路や壁、天井に張り巡らされたエネルギーラインが、青や橙に色を変えながら明滅を繰り返している。そして、流れ込むように床にある巨大な円へ向かって全てが収束していた。天井には葡萄の房のように無数の機械がぶら下がり、それを透明な緑色の板が覆っている。壁や床のあちこちに、青白いコブのようなものが取り付き不気味な光を放っている。機械的なようで、それでいてどこと無く生物めいた形状をした特殊な空間。巨大な生き物に食われたら、きっと腹の中ってこんな感じなのかもしれない。

「いやぁ、遠いところからわざわざどうもどうも。さぞや大変だったでしょう」

大きすぎる部屋の隅、光が届かなかった暗がりから声がする。

レジスタンスの標準鎧の足が、闇から抜け出す。それに続いて、序所に男の全貌が露になっていく。紫色をした鎧が、青白い石に照らされて毒々しい色に変化する。鎧姿の男はわざとらしく大きい動作で拍手をすると、鎧の頭部を脱ぎ、投げ捨てた。男が頭を振ると、少し長めの髪が空間に広がる。

「ジブルっ」

男の素顔を見ると、クローバーが憎しみをこめてその名を呼んだ。ロボの操縦席でロディの服にしがみついていたフリージアとクローバーは、パッとその手を離して操縦席から飛び降りる。

「おや、そこのくず鉄どもは.....ちっ、あいつらしくじったのかよ。つくづく使えないやつらだぜ」

名を呼ばれは方はクローバーとフリージアの姿を確認すると、隠そうともせずに舌打ちを一つする。

「ジブル.フラン。エミル世界での連続DEM襲撃事件ならびにギルドスキルを使用しての破壊活動の重要参考人としてあんたを捕縛するんで、よろしく」
「治安維持部隊のランカー様が、こんなところまでご苦労なこった」
「あんたの部下はついさっき全員ぶっとばしてやった。あとは、お前だけだ......セタリカを、解放しろ!」

ジブルは自身の部下の顛末を聞くも、切れ長の目の端を一時動かした程度で、それ以上の反応はしなかった。それどころかジンが述べた自身の罪状についても、ロディがセタリカの解放を求めたことにも、ジブルの表情は動きはしない。その様子が、かえって不気味だ。さっきは勢いよく飛び出したクローバーとフリージアだが、今は彼を睨む目にもどこかしか恐怖の色が混じっている。狼が彼女らを護るようにして前に出て、低く唸りを上げた。

突如、ジブルの顔が歪む。口が三日月型になって、白い歯が覗く。切れ長の瞳がアーチを描き、薄目がちにこちらを見た。

「セタリカを解放しろ、か......くくくっ」

口元に手を当て、笑いを堪えている。

「何がおかしいってんだ」
「いや、まさかこの段階になってまでも無事だと思っていることがおかしくておかしくてさぁ」
「どういう意味だ!?」
「それはそこの小娘どもが知ってるんじゃないのか?聞いてみろよ」

ロディの追求に、ジブルは笑い混じりでそう応えると、ぎょろりと視線を姉妹に向ける。同時にロディやジン、ヒルダも一斉に振り向いた。クローバーとフリージアが、一瞬身構えて後ずさる。ただただ視線を泳がせる二人だったが、もう隠しとおせないと悟ったのか、ゆっくりと言葉を紡いでいく。

「私たちとかあさまにしか分らない秘密の場所があって、それを使って私たちが妨害工作をしてたって話はしたわよね。それが、私たちとかあさましか分らない秘密が全部知られて、逃げたり隠れていた場所が全部掌握されてしまったってことは......それはつまり」
「かあさまのシステムが完全になって、秘密が全部知られてしまったことになるんですの。つまりかあさまのコアが......全部、渡ってしまったことを意味していて」
「だ、だから、かあさまの分割したコアを搭載していた筐体は......そのセタリカっていう人は、もう」

ドレスの胸元を握り締め、二人は苦しそうにつぶやく。その先を言うことが出来ないというふうに、俯いたまま唇をかみ締めている。

「そういうこった、ほらよ」

そんな二人をみながら、ジブルは勝ち誇った笑顔を作る。突如、ジブルの隣で、巨大ななにかが形を成していく。それは低い唸りをあげて、自身に施されていた光学迷彩を解いていった。パーツが虹色に光りながら、黒い装甲へと置き換わっていく。正面から見れば人の頭蓋のようにも見える胴が、こちらに睨みをきかせる。その胴を支える太い脚が、動くごとにギアやフレームの噛み合う音をさせる。対照的に腕は細い。蛇腹状の構造をしたそれの先には、物をつかむぐらいの最低限の機能があればいいというようなロボットアーム。

見た目はロディの乗っているのと同じ、強化外装を装備した騎乗ロボット。今そのアームには、人型の何かが捕まれていた。頭を乱暴に挟まれ、四肢をぶら下げるに任せている。

ロディは、その人型を見たことがあった。白い髪、透き通った空のような青い瞳、優しい眼差。最初は酷かったが、ロードが教えたことで見違えるほどにうまい料理を作るようになった。ヒルダとも仲が良いようで、買い物から手をつないで帰ってきたときは少し嫉妬もした。彼が初めて笑ったとき、ヒルダが自分に初めて笑いかけてくれたときと同じようにうれしかった。

ジブルの騎乗ロボが、ゴミ箱にでも投げるかの如くその物体を放る。重量物が落下した音がする。かつて自身の仲間であった物が、目の前に落ちている。青い瞳には、今は何の感情も写っていない。いや、写せるはずも無い。

その源であるコアが収まっていた胸に、まるで型で抜いたようにぽっかりと穴が開いているのだから。

「セタリカ......」

ロディの声が震えている。握り締めらすぎた操縦桿のグリップがひときわ強く唸る。

「つまらないやつだったぜ、泣きわめいたり命乞いでもしてくれりゃあおもしろかったのによ。こいつときたらなんの反応もねぇ。まさに機械ってやつだな」

4人と一匹に向けて、間延びした声でセタリカの最後の様子を説明する。途中、耳に指をつっこんでは指先についた汚れを確認し、息を吹いてそれを飛ばす。心底どうでもいいといった感情を、隠そうともしない。突如、ロディの騎乗ロボが青い閃光に包まれる。ベイルアウト、騎乗ロボ内の魔道回路によって実現する極短距離の転移魔法。数秒後にはジブルの眼前に出現し、その細くも強靭なアームを迷うことなく突きこんだ。

しかし、怒りの一撃は届くことなく終わる。

傍らにいたジブルのロボが、主人を護るように立ちはだかったからだ。ロボットアーム同士が互いに絡み合い、相手を押し込もうと軋みを上げて振動する。だが、よく見ればジブルのロボの方がやや優勢だった。ロディの愛機が、徐々に後ろへと押し込まれる。メインルームの床に、重量物の移動によってできた傷が刻まれていく。

ジブルは、機体がとっ組み合っているのも気にせず、操縦席へと向かう。愛機の脚部を足がかりにし、飛びあがって登ると

「おいおい、たかが人形が壊れたぐらいでなにムキになってんだよ」

余裕たっぷりな顔で、操縦席に座り操縦桿を握る。対照的に、対峙しているロディの顔は怒りに歪んでいる。普段感情の読み取りずらい狐眼も、このときばかりは怒りをあらわにしていた。

「お前だけは、お前だけは絶対に許さねぇ!」

押し込まれていたロディの愛機が、彼の叫びに呼応するかのように唸りを上げた。反撃だといわんばかりにジブルの機体を押し返す。限界以上のパワーを出しているためか、アームの軋み音はさらに大きく、高いものになっていた。ジブルは、未だに余裕のある表情を崩さない。まるで、自分が負けることなどないと確信しているよう。

「まぁ、あせんな。お楽しみはこれからだ。メインの講演の前に、まずは余興だ」
「ロディ、上!」

そして、彼の余裕の正体が出現する。ヒルダの叫び声を聞き、ふと上に視線を向けたロディが見たものは、薔薇をあしらった長大な斧だった。

「なっ」

ロボがとっさにアームの片方をほどき、振り下ろされた斧を受け止める。風圧が銀髪を揺らす。相手の銀髪も、薄青い光で満たされたメインルームに広がってはらはらと舞う。黄金の仮面で隠されているその瞳が、赤黒く輝いてこちらを見た。片方の腕が解放されたことで形勢が一気に逆転し、機体が押し返されて弾かれる。ロディは転びそうになるところを、なんとか寸でのところで立ちなおす。

「マスターに対しての敵対行動を確認、これよりDEM_00_Lupinusは敵対生物及びイレギュラーの排除を実行します」

ふわりと、ジブルの隣に降り立った少女は、機械じみた声色で宣言する。

各所に薔薇をあしらった、おおよそ戦闘をする装束とは思えないドレス姿。背面では金色の翼がゆっくりと羽ばたきに似た動作を繰り返ている。手には、自身の身長にも迫る長さの長大な斧が鈍い銀色を反射していた。黄金の仮面の下の瞳が再び光った。5人と1匹を観察するように、全体を眺め回している。

DEM_00_Lupinus三姉妹の中で戦闘用に製造された特別製の固体。マザーと他の姉妹を守護するための、マザーと同様、いや場合によってそれ以上の戦闘能力を持った史上最強のDEM。

「いい余興だろ?まぁ、せいぜい楽しんでくれ。はははっ」

ジブルの笑い声を引き金として、史上最強のDEMが舞い上がる。弾丸と見紛う速度で、ジンたちの下へと飛び込んだ。





つづく
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