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本編(リレー企画)

ヘルズ ドミニオンズ 復讐のコア:第六話

 ←ヘルズ ドミニオンズ 復讐のコア:第五話 →ヘルズ ドミニオンズ 復讐のコア:第七話
詠羅さん原案でのリレーシナリオです。

前回の話
ヘルズ ドミニオンズ 復讐のコア:第一話
ヘルズ ドミニオンズ 復讐のコア:第二話
ヘルズ ドミニオンズ 復讐のコア:第三話

ヘルズ ドミニオンズ 復讐のコア:第四話
ヘルズ ドミニオンズ 復讐のコア:第五話

第六話

著:詠羅さん



「全く、ことごとく無茶をしてくれるね。君は」
「自らの失態を他人へ当たるとは、貴族としての自覚があるのか? キリヤナギ」
「DEM族が狙われている事実を知りながら、敢えて一緒に行動する君の無用心さへ、僕は一言いいたいだけだよ。……ジン」
「は、はい」
「なんで言ってくれなかったの?」
「え、えーと……」

怒られそうだったからなど、言える訳がない。
キリヤナギの執務室へ再び招かれたジンは、問い詰められた事実に息を飲んだ。

カナトは澄まし顔で横に座り、向かいには、ロディ・ガロンこと、エミル・マエストロのロディと、ドミニオン・ホークアイのロード。DEM・ヒルダもいる。
ロディに関しては勢いのまま街中でミサイルを発射し、ほぼ連行されたにも等しかったが、カナトがおり、友人であると我を通した為に、無理矢理ここに連れてこられたのだ。

キリヤナギは応接椅子に座る五人にため息をつくと、リラックスした様子で椅子へ持たれる。

「ある程度の情報が大体纏まってきたよ」
「ほぅ?」
「破壊されたDEM達は、全員DEM・マザーのコアを積んでいた。この情報から冥界のDEM・マザーは破壊されたと見て間違いないね」
「そうか……。しかし何故、そのコアをDEMへ?」
「さぁね。解析によれば、破壊された彼らは、皆、殺戮DEM達と同じ言語で動いていたらしいよ……」
「殺戮DEMとして、製造された……?」
「分からない。だけど彼らのソースコードは、とても単調な物みたいだ。僕は詳しくないからよくわからないけど」
「セタリカは、口が利けなくとも意思疎通が可能だった。同じ言語であっても組まれ方が違うのかもしれない」
「……違いで言うならそうだろう。古い言語なら、君の言った自立プログラムの遅さも合点がいく。敵が散り散りになったマザーのコアを回収しているのを見ると、彼らがこちらに転送されたのはDEM・マザーの意思かな……」
「……DEM・マザーにより殺戮DEMの製造が抑えられていたのなら、その主導権が敵に渡る事で、再び製造が始まる可能性は?」
「その可能性があるなら君はどうするの?」

棘のある言葉に、ジンの胸へ何かが刺さる。
キリヤナギからは考えられない言葉だと思った。

「命が惜しいなら、もう関わるのは止めておくんだね」
「待ってくれ、セタリカが……セタリカが連れて行かれたんだ」

ロディの悲痛な声に、カナトとジンがそちらを見る。
話を聞くと、彼らは数日間セタリカと共に過ごして居たらしい。
大方事情を把握したキリヤナギは、まるで諦める様に口を開く。

「保護できなかったのは僕の失態だよ。でもジブルが最後の一つだと言ったなら、敵の向かう場所は冥界……。僕ではもう手が届かない」
「……総隊長?」

キリヤナギは席を立ち、背中の窓に向かって立つ。
夏の気候は明るく眩しいぐらいだ。
脇にはグランジも控えていて、同じく外を見ている。
カナトは何も言わず、目の前の3人へ向き直った。
キリヤナギにできる事はもうないからだ。

「大方話は聞けたし、帰ってもかまわないよ。後は僕の仕事だから」
「そうか、ならばお暇する」

「待ってくれ……、セタリカは、セタリカはどうなるんだ!?」
「ロディ殿。一度わが家へ、お茶ぐらいはお出ししましょう」
「あんた、この街の平和守ってんだろ!!」

立ち上がったロディの叫びに、カナトは眉を潜める。
言い放つ相手は、当然キリヤナギだ。

「連盟に入った冒険者を守るのがお前らの仕事なんだろ!セタリカだって冒険者だ!なんで助けようとしねぇんだよ!」
「……!」
「肝心な時に何もかも役に立たねえ……。なんでだよ……ちくしょぉ!」

キリヤナギは黙っていた。
背を向け無視しているその背中は、普段からは考えられない程に冷ややかで残酷にも見えた。

悲痛な叫びを吐くロディは、動こうとしないキリヤナギへ飛びかかかるも、脇にいたグランジに止められ、膝をついてしまう。

「くっそ!」
「あんた!!」

部屋を飛び出していたロディを、キリヤナギは見送らない。
何を言われても、キリヤナギにできる事はもうない。
彼はアクロポリスの領主の一人であり、この土地から離れる訳にはいかないからだ。



※※※



カナトは此方を見ないキリヤナギを確認し、ジンと二人で元宮をでる。

元宮を飛び出したロディは、動揺の余り階段で足を縺れさせ転倒していた。
追いついてきたロードに助け起こされるも、未だ落ち着いた様子もない。

「ロディさん、ロディさん待ってください!」
「冥界に行く。あいつらをあてにできねぇ、俺が行く。今すぐだ!」
「お気持ちは分かりますけど、ちょっと落ち着いてくださいよっ。だいたいろくな準備もなしに乗り込んだって」
「うるせぇ、モタモタしてたらセタリカが殺されちまうんだぞ!それでもいいのかよ!」
「僕だって嫌ですよ、でも」
「どうか冷静に、焦っても仕方がありません」

元宮から遅れて出てきたカナトは、床へ座り込んで入るロディを見据えていた。
彼らの気持ちは痛い程に分かる。
カナトも以前、仲間を取り戻したばかりだからだ。

「少し情報を整理したい。私の庭へどうぞ。知る限りの事をお話します」

3人は警戒した様子でカナトを睨んでいた。
ジンは心配そうにそれを見つめ、カナトは3名を庭へと招く。
広く整えられた芝生のある庭に、3人は少し驚いた様だった。
掲げられる翼と音符の紋章が、明らかに普通の家ではない事を物語っている。

「何もんだよ。あんたら……」
「気にされず、実家が成り上がりの貴族であり、私はその後継なだけです。私自身には未だ何の力もありません。……申し遅れました。私はアークタイタニア・ジョーカーのカナトです。そちらは、私の護衛のジン」

「エミル・ガンナーのジン。部隊所属の6位……かな」
「エミル・マエストロのガンロディだ。こっちは、ロードと、ヒルダ……」

カナトは軽く礼をして、三人を自宅へ招いた。
そこでセタリカと三人が数日同居していた話を聞く。

「なるほど、セタリカがDEM・マザーのコアを積んでいたと言う事実は、誰も認識して居なかったのですね」
「……」
「カナトさん、先程の元宮での話。あまりにも飛躍しすぎていて僕たちにはさっぱりでした。もしよろしければ、聞かせて頂けませんか?」
「あぁ、申し訳ありません。……実は一週間前、私達はあのマエストロが、通りすがりのDEM族を破壊する様を目撃したのです」
「!」
「セタリカではなく、別の筺体ですが彼らが狙われた理由を、先程の治安維持部隊、総隊長キリヤナギが探っていた。そこで浮上したのがあのマエストロのジブルとDEM・ルピナスの関連です」

ヒルダの苦い表情に、カナトは一息をつく。
DEM・ルピナスの存在をカナトが知っていた事を踏まえ、ヒルダはルピナスの存在理由をロディとロードへ説明した。

「DEM・ルピナスの管理権限が、冒険者に移っている事実は、DEM・マザーが掌握されているにも等しい。だが敵はDEM・マザーを破壊したにも関わらず、再びコアを集めている」
「マザーを破壊するのが目的なら、達成している筈なのに……」
「9つのコアを揃えなければならない理由がある……。私とキリヤナギは、この意味を冥界のDEM、全ての掌握ではないかと見ている」
「DEMの掌握……DEM・マザーでも不可能だったことが、冒険者にできるんですか?」
「……ロード。DEM・マザーはあくまでシステムの一部なんだ。与えられた命令を遂行する為の存在にすぎない。命令を与えるのはあくまでユーザーで、別に存在しているとされている」
「コアを集めているのは、単純に演算処理力が足らず、殺戮DEM達を掌握出来るほどのスペックがないからだろう」
「あんた、詳しいね」
「かいつまんだ知識だが、お役に立てているなら光栄だ。……セタリカが連れ帰られたことで、敵はDEM・マザーの本来のスペックを取り戻す事になるが、……DEM族ではなく、ドミニオンがそれをやろうとしている事に矛盾を感じる」
「DEM族を掌握して、DEMの全て滅ぼすのが目的か?」
「分からない。しかし掌握できるならば、戦火を広げる意味はないが……、あの周りへの被害を考えない行動から見るに、その論理が破綻する程の私怨を、ドミニオンがドミニオン族に対して持っている事も考えられる」
「仲間殺しじゃないですか……、唯でさえ人口が少ないのに、身内で戦うなんて」
「まだ決まった訳ではありません。ヒルダ殿の言うように、DEMを滅ぼすことか目的ならば、戦火が広がる事もなく、全てがおわるでしょう」
「終わらない! 絶対終わらない!」
「ロディさん?」
「セタリカ意外のDEMも、皆コアをぬかれて死んじまったんだろ……じゃあセタリカも、いつかコアを抜かれて壊されてしまう……」
「……」
「DEMを滅ぼして世界を平和にしようだって・・・ふざけんなっ!そのためにセタリカのコアが抜かれるなんておかしいし、誰かを犠牲にしてなった平和なんて本当の平和じゃねぇよ」
「……仰る通りでしょう。敵の目的が分からないにせよ。セタリカのコアが抜かれてしまう事には変わりない。しかし、救出に向かう事で、敵が掌握したDEMを差し向けてくる事も考えられる」
「……その頃には、もうセタリカは壊されてんだろ」
「時間の問題です。そうなってしまえば、この5名で数万の殺戮DEM達と戦うことになる。不可能でしょう」
「何万、何千万の敵がこようが関係ない。俺は行くぞ!」
「ですからロディさん、落ち着いてくださいってば」
「こうして話してる時間だって惜しいくらいだ。そうと決まれば・・・」
「もう少し冷静になりな。そんなんじゃただ死にに行くようなもんだよ」
「なにぃ!?」

無謀な話だと思う。
3人の話を聞いている中、カナトは横で黙っているジンをみた。
辛そうに悔やんでいる3人をみている。
ジンもまた、取り戻したいと散々喚いて我儘を通したのだ。
同情もしているのだろう。
トラウマも抱えた手前、発言を控えているのだろうが、ジンがそうしたいなら、道は一つだ。

「この5名なら不可能です。しかしもし、こちらも同等の戦力があるなら……」
「へ?」

戯けたジンの返答に、カナトは笑っていた。
目の前の3人も顔を上げる。
そんな時、カナトの手元にあったナビゲーションデバイスに着信が入った。
見覚えのある名前は、意味を調べると平和の象徴らしい。
カナトは、目の前の3人に了承をとると、その通信へ迷わずでる。

「ご機嫌よう。父上……」
「”よぉ、また珍しいもの見つけたなぁ! カナト”」

拡散設定もしていないのに、よく響く声だ。
電話をかけてきたのは、カナトの父。堕天・ルシフェル。
アークタイタニア・ウォーレスハイム。

「”旧仕様のDEMのコードなんて、何処でみつけたんだい?”」
「……最近できた友人のソースコードです。システムが遅く不審に思いました」
「”へー、エミル界のDEMでも、まだ積んでるやついるんだな。いい勉強になるしよく見ておけよ。ベーシックE以前のソースコードさ。これが読めればベーシックEと、Eコードまで読めるようになるぜ?”」
「汎用性のある言語だとは分かりますが、……Eコードは確か、ミカエル陛下が開発した言語でしたね」
「”……そうだな。そのコードをミカエルがみて、Eコードを開発したんだ。友達ならもっと見せてもらっとけ”」
「……実は、その友人がつい先程、冥界へ戻ってしまわれまして」
「”なんだ? それは残念だったなぁ……”」
「はい、冥界は未だ戦火のある場所であると伺っています。そこで疑問に思ったのですが……」
「”ん?”」
「DEMの友人より、冥界のウェストフォートは、ここ数百年、度重なる殺戮DEMの襲撃に、持ち堪えていると聞きます。他の都市は陥落したにも関わらず、何故ウェストフォートのみが、襲撃に持ち堪えているのですか?」

カナトの言葉に、きいていた五人が顔を上げた。
確かにそうだ。
冷戦になっているとは言えど、冥界の人口は年々減っている。
それなのに、何故今も陥落せず持っているのか。

「”いいとこ着くねぇ……”」
「冷戦のきっかけとなった過去の大戦に、ミカエル陛下が参加したと、見ております」
「”あんまりいいふらすなよ。口止めされてるからな。あいつも今更関与は避けてるみたいだし、こっちもタカられたくねぇ”」
「承知しております。私は天界人。立場はわきまえている」
「”ならいいぜ。殺戮DEMがウェストフォートを落とせないのは、ミカエルが作ったEコードソースに、その旧式のコードが走らないからだな。Eコードのバリアを中身から破壊できないだけさ。連中も所詮は0と1のプログラム。嘘はつけねえし、人間みたいに融通が利かないからな”」
「ならば、エミル界に来ているDEM族のコードは……?」
「”心が生まれ、独自進化できるDEMなら、新しい言語を学ぶ事で高速化できる。個体によってまちまちだが、大体はベーシックEになってる筈だ。ベーシックEなら、そのコードにも互角があるし、Eコードも読めるからな”」
「……なるほど、納得致しました。ありがとうございます。父上」
「”久々に面白いもの見れて、嬉しいだけだよ。そんで、その帰った友達には、また会いに行くかい?”」
「……出来れば、また会いたいと願っています」
「”はっはっ、そうかい。ならキリヤナギは連れていけよ。俺はそれなら十分だ”」
「……分かりました。お忙しい中ありがとうございます」

カナトはそう言い残し、ウォーレスハイムの通信を切った。
呆然と話を聞いていた四人へ、カナトは向き直り、堂々と述べる。

「私はすぐには動けません。しかし冥界へ向かうのなら、殺戮DEMに対抗する同等の戦力が必要でしょう」
「だけどさっき、なんの力も無いって……」
「私ではありませんが、顔の聞く友人がおります」
「総隊長!? でもすげー反対してんじゃん」
「それにはもう、手はうってある」
「は……」
「我々は、後から向かいます。あなた方は先に冥界へ。間に合うことを願います」
「……信じて、いいのか?」
「私もセタリカ殿を助けたく思う。しかし、敵は殺戮DEMの全てです。5名では不可能ですが、同じ戦力ならば望みはある」

ロディは迷った。
まだまともに話も言葉も交わしていない。
そんな相手を信頼していいのだろうか。
だが、ただ助けるだけなら同じだと思う。
確かに敵は全てだが、彼らが来なかったとしても自分がセタリカを助けるのは変わりないからだ。

「あんたらが来なくても、俺はセタリカを助ける!」
「構いません。現地でまた会いましょう」
「ロディさん……」

堂々としたカナトの表情に、ロードは一人不安に駆られていた。
ロディは助けるの一点張りだが、カナトが来なければ、自分達は全ての殺戮DEMを相手に戦わねばならない。
それでは到底勝ち目はない。
しかしそれでも、意気込むロディをみると、ロードは何も言えなくなってしまった。

ロードは一人、カナトと連絡先を交換し、3人でカナトの自宅を後にする。
カナトは玄関まで彼らを見送り、見えなくなったところでジンが口を開く。

「マジでいくのかよ。冥界」
「私は本気だが、怖じ気づいたか?」
「そんなんじゃねーよ……。でもなんか、お前らしくないつーか……」
「そうか? 私は冥界を見てみたいだけだぞ?」
「は?」
「本当なら、貴族に戻る前に行くべきだったがな……」
「おまえ、セタリカを助けるんじゃ……」
「貴様がそうしたいなら、そうすればいい」

訳が分からない。
カナトが助けたいのではなかったのだろうか。
自分で救いたいと言っておいて、何を言い出すのかと思う。
だがジンも、セタリカが一緒に行った事へ、納得が出来ないのはその通りだった。
知らない所で話が進み、理由も分からないまま、セタリカは同意してついていった。
本当にそれでよかったのかと思えば、友人は止められなかったことを悔やみ、救いに行くと言う。
最後に見せた名残惜しそうな表情も頭から離れなかった。

「俺、お前の護衛だぜ?」
「キリヤナギを連れて行けと、父上の仰せだからな。融通が効くはずだ。……三日後には出る」

訳がわからない。
そもそも反対しているのに、融通などあり得るのだろうか。

2人は3日ほど時間をかけ、冥界にゆく準備を整えてゆく、武器を新調し、カナトは冒険者として紛れ込む為に、黒服に後輪を隠すフードだ。
珍しく、翼を隠すための光学迷彩も購入し、2人は、庭を動かして南西へと向かう。

冒険者の間で噂になっている一つの塔だ。
存在はあやふやにされているが、誰もが知っている異界への入り口。
初めてきたが、それはとても高く巨大で驚いた。

また塔のある島の周辺に、多数の飛空庭が停泊していて驚く。
治安維持部隊の移動用の庭が6機。
島の周辺に停泊していた。

カナトは動じる事もなく、庭を島へつけ波止場へと下りたった。
当然のように対峙したのは、つい3日前に背中で見送った、エミル・ガーディアンのキリヤナギ。
横にグランジや、セオ。コウガもつれ、物々しい空気が立ち込めている。

「盛大な迎えを感謝する。キリヤナギ」
「あれだけ言ったのに、君は強情だね」
「己に嘘を付いていないだけだ」
「その軽率な判断が、周りにどれほど影響を与えるか、君は本当に理解しているの?」
「理解している」
「なら君を守るために、君の武器であるこの僕は、君へその剣を抜こう。そしてウォレス様の元へつれて行き、保護を求める」
「事が終わるまでの幽閉……か、偉く強行な手段だな」
「守るべきものは、安全場所へ避難させるのが一番だからね」
「なに物騒な話してんすか!」
「ジン。君は彼の護衛だ。守るなら止めるべきだろう」
「そうだけど……護衛だからって、なんでもダメってわけじゃないし、カナトがそうしたいなら、それを尊重するのが騎士って、そう書いてたし!」
「じゃあどうする? 再び戦うかい? この僕と」

息が詰まる。
キリヤナギの周りには騎士と、飛空庭から覗く部隊員もいる。

「僕はここへ、約100名の部隊員を連れてきた。結果はいい逃れ出来ない。僕が負ければそれも結果だ。ジンが勝てば、僕は総隊長をやめてカナトの下に着こう」
「は?」
「僕が勝てば、カナト。僕は君を保護する。かまわないかい?」

心臓が破裂しそうなほどに脈打ち、ジンは言葉が出ない。
キリヤナギから感じる威圧はかつてない程に重く、覚悟すらも感じてくる。
負ければどうなるか分からない。
だが……、

「唯の一般市民である私に、何をヤケになっている。情けない」

後ろから響いた言葉に、ジンの緊張が一気に溶けた。
振り返ると、カナトがため息をついてジンの横に並ぶ。

「私は、ただ冥界を見に行こうとしただけだ」
「だからこそ、危険の伴う冥界という戦地へ君を行かせる訳には行かない」
「何を甘えている」
「は……」
「冒険者連盟に所属した冒険者が、アクロポリスを攻撃し、冥界へ落ち延びたんだぞ。これはアクロポリスと言う都市への立派な宣戦布告であり、それを放置するとは、アクロポリスの騎士として怠慢も甚だしい!」
「!?」
「しかもスキルマニュアルを悪用されている事実をギルド評議会が許す訳がなく、また、それによりアクロポリスが攻撃された事実を貴様は黙ってみているだけか? 治安維持部隊として情けない! ギルド評議会の蒔いた種を、己の力で排除する為に貴様はいるのではないか? 治安維持部隊、総隊長キリヤナギ!」

呆然と皆がカナトの叫びを聞いていた。
カナトはキリヤナギの雇い主ではなく、治安維持部隊の総隊長にむけて叫んだのだ。
規約違反をした冒険者の捕縛は、キリヤナギの義務となる。
カナトはそれを利用した。
また、アクロポリスと言う都市への宣戦布告とする事で、大多数の戦闘の始まりを示唆する。
これにより、全てが動く。

カナトはフードを取り、翼の光学迷彩を解除。
貴族であるその身を晒し、叫ぶ。

「職務怠慢をほのめかす貴様が、その義務を果た様を、この私カナト・F・フォン・メロディアスが同行する事により証明する。次期堕天・ルシフェルたるこの私が、貴様の義務を果たす様を最後まで見届ける! 治安維持部隊、総隊長キリヤナギ!その立場を維持したくば、これを実行せよ!」

誰もが唖然とその言葉を聞いていた。
騎士隊は言葉を失い、キリヤナギもまた惚けている。
数秒の間を置き、キリヤナギは一息ついた。
カナトの言葉に何一つ間違いはなく、やられたとすら思う。

カナトが冥界に向かうのを止めた事実を、カナトはキリヤナギの職務怠慢だと述べたのだ。
連盟に所属した冒険者を放置し野放しにする事は、治安維持部隊を雇う騎士団とギルド評議会の意思に反する。
規約違反をした冒険者の捕縛は、キリヤナギの義務だからだ。

カナトを止める事実は、その義務を放棄だとされた為に、キリヤナギは自身の立場がなくなってしまう。
だがカナトは、義務を見届ける証人になると続けた。
部隊員ではなく、第三者として、それを果たしたなら証人となると述べたのだ。
人材としては十分だろう。冥界とエミル界には全く無関係の、天界人だからだ。

頭を抱えているキリヤナギを、横のセオがジト目で見てくる。
周りには部隊員を乗せた庭が停泊し、皆がキリヤナギの返答を待っていた。
表向きには威嚇として連れてきたが、部隊員には告げてある。

冥界へ行く準備をしておけ、と、キリヤナギも騎士隊もわかっていた。
カナトなら必ず、キリヤナギを動かす為の大義名分を持ってくると、当然、この100名の中にはリュスィオールもいる。
彼女もまた庭から見下ろし、会話の全てを聞いていた。

「僕とした事が、自身の本来の立場を見失っていたみたいだ……」
「総隊長……」
「いいでしょう。我が君。義務を果す証明の為、同行を求めます。……治安維持部隊総隊長。キリヤナギより宣告! これより本隊は冥界へ、冒険者ジブルの捕縛へ向かう。敵は大多数のDEM族を味方につけている事が予想される為に、本部より増援要請を、先行部隊はこれより冥界へ向かう!」

治安維持部隊の飛空庭に、ガーディアンのエンブレムが掲げられた。





つづく
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