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 ←言い訳をしたいだけの日記 →ヘルズ ドミニオンズ 復讐のコア:第二話
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本編(リレー企画)

ヘルズ ドミニオンズ 復讐のコア:第一話

 ←言い訳をしたいだけの日記 →ヘルズ ドミニオンズ 復讐のコア:第二話
詠羅さん原案でのリレーシナリオです。当ブログでの(連載)となりました。
二人でペアとなり、交互に執筆いたしました。ぜひご覧くださいませ。

素敵な企画を持ってきてくださった詠羅さんにただただ感謝です。ありがとうございました!

第一話

あらすじ

ドミニオン世界、地下深くに存在するマザールーム。
DEMマザーがルクス、リリ以降に作り出した新世代のDEMたち(DEM_00_Clover)(DEM_00_Freesia)(DEM_00_Lupinus)。
マザーと彼女たち三姉妹は、DEMたちを旧システムの支配から解放するため、日夜活動していた。
そしてついに、ひとつの希望を手にする。喜び合う姉妹とマザー。

そんな彼女たちの様子を、遠くから覗っている不審なドミニオンがいた。

参考(キャラ詳細)
当ブログに登場するキャラ
「JKな奴ら2nd!!」に登場するキャラ


参考(お話)
当ブログ「キカイの君」
JKな奴ら2nd!!「Royal*Familiar」


著:ロディ山



その場所は、ドミニオン世界の地下深くにあった。
部屋に張り巡らされた細い透明な糸が、巨大すぎる部屋の中央に集中している。
何かが収束していくように、天井からゆっくりと光の波がその糸を伝って、押し寄せている。

デムロポリス。そのさらに奥のメインコントロールルーム。
かつて、メインシステム側に象徴として祭り上げられていた、DEMマザーの居城。
光の糸の収束する先にあるのは、オレンジ色の巨大な円陣。光が円陣の中を、くるくると流れていく様は、まさに光の川だ。
川の中心に、ぼんやりと浮かび上がる人影がある。
その数は4人。

その中の一人、緑色の髪をした少女が、ゆっくりと息を吐き出すと、瞳に力を込めて見開いた。

「管理権限の奪取、開始します。......10、13、20、25」
「不確定領域のこちらへの権限移行中。今のところ、プロテクトや強制破壊プログラム等の襲撃無し。こちらの進入にも対応しかねているわね」

空中で緑色の薄い光を放つバーチャルキーボードを叩きつつ、少女(DEM_00_Clover)は言う。

唇に指を当て考え込むしぐさは、彼女の抱く希望と迷いを周囲に伝えている。
淡い青色のドレス、首元では白いリボンが存在を主張していた。
胸とスカートの辺りに金の刺繍がなされた、豪華なドレス。バーチャルキーボードに照らされる瞳は山吹色。
小さな顔には少々大きい瞳が、必死でディスプレイの文字を追っていた。

今度はまた別のディスプレイが彼女の目線の先に現れる。其処には、伸びていくバーと%の文字。

「行ける......かも?Freesiaちゃん!」
「了解ですわ♪この好機、逃しませんわよ♪」

Cloverが、同じく隣でキーボードを叩いていた少女に振り返る。
それが合図だったように、Freesiaと呼ばれ少女の前にも、幾多ものキーボードとディスプレイたちが現れて顔を照らした。
ニコニコとした表情をしながら、その水色の眼を細めて彼女も文字を追い、キーボードを叩きはじめた。

白と水色のフリルが、彼女の動きに合わせてふらふらとゆれる。
首元には蝶々結びの青く長いリボンが、紫の薔薇を象った止め具でとまっている。全体的にCloverよりも幼く見えるかもしれない。
そして、おっとりした口調と、その端の下がった目尻がさらに幼い印象を与える原因とも思われた。

二人の前で、色とりどりの画面が通りすぎ、幾多の文字と記号が踊る。
彼女たちの指は、人間のそれとは比べ物にならない速度で動いている。
押すごとに画面が瞬き、彼女たちを淡く照らしては消えていく。
光の連鎖反応。そう呼ぶのがふさわしいのかもしれない光景だ。

「移行率......40、45、50......いけるっ、いけるわ!」
「私たちの、長年の夢。お願い、届いてっ」

少女たちの願いを受けて、中央のバーは延びていく。55、60、68、70。

「かあさま、うまくいくかな」

その傍らにはディスプレイと格闘している彼女たちと同じ年頃であろう少女と、彼女たちよりも歳上の女性の姿がある。

DEMマザードラゴンと、DEM_00_Lupinus。
少女のほうは、紫色の長髪が腰の辺りまで伸びている。
赤い布地で、ところどころ白いフリルが目立つドレス姿。少し開いた胸元は、他の少女たちよりも少し大人びている印象を与えるが、幼い顔つきに、大きめの瞳がその印象を相殺していた。
髪色よりもなお深い、紫の瞳が、不安そうに隣の女性を見つめている。

「ああ、これだけ試したんだ。今度こそ、うまく行くはずだよ。信じよう、Lupinus」

腿のあたりまで伸びた長い白髪が、重力を無視してふわふわ浮いていた。
憂いを帯びた青く澄んだ瞳、キラキラと輝く白銀の衣。そして、ひときわ眼を引くのは、その背にある大きな翼だ。
ギザギザとした皮膜は、端から薄い紫色を帯びて収束し、それを広げている骨組みに向かうほどに灰色になっていく。
青い光を帯びた細長いエネルギーラインが、血管の変わりだと言うように皮膜に張り巡らされていた。

「うんっ、かあさま」

マザーはなだめるように見つめると、紫色の髪をなでた。
Lupinusは、うれしそうに目を細めると、首を縦に振る。

「あ、Lupinusだけずるいです。かあさま、わたしもなでなでしてほしいですの♪」
「Freesia!いまは集中して!」
「はーい♪」

その様子を観ていたFreesiaは、ディスプレイをタッチする指は休めないままマザーのほうを観ると口を尖らせる。
Cloverに叱咤され、またディスレイに向きなおった。

DEMマザー、そしてマザーがルクス、リリ以降に生み出した新たなDEM(DEM_00_Lupinus 、DEM_00_Clover、DEM_00_Freesia)。彼女たちは今、長年の夢を実現させつつあった。
メインシステム。DEMたちをはるかな昔から操り続けてきた影なるものからの脱却。
同胞たちをシステムの呪縛から開放し、自由にしてやりたい。
マザーはひたすらに同胞たちに呼びかけを続けていたのだった。

「80、82、89、......もう、あと少し、あと少しなの!ええい、逃げ切ってやる!管理権限移行まであと90、91、92、93!」
「プロテクトを一時的に麻痺させるプログラムも追加してっと♪」
「でかしたっ!後で大事に取っておいたマシュマロあげちゃうっ」

その宣言を聞いたFreesiaは口に広がる甘いマシュマロの味を想像して、顔をほころばせた。
二人の中央に表示されたひときわ大きいディスプレイバーが、100%への終着点へ向けて伸びていく。
光の連鎖はさらに加速し、今は二人を包む渦と化していた。

「95......97、98、99、100。管理権限奪取......かあさま、かあさまっ!」
「ああ、よくやった。お前たち」

100%になり、バーを表示していたディスプレイの色が赤から青へ変化する。

’管理者権限をこれよりマザーへ移行します’

文字が、彼女たちを祝福するように躍っている。

「かぁさまぁ......ぐすっ、やった。とうとうやりましたぁ」

バー以外のキーボードとディスプレイが音も立てずに空間から消滅し、二人が取り囲んでいた光から開放される。
マザーは迎え入れるように腕を伸ばすと、二人はその胸に飛び込んで顔をうずめた。

「やったぁ、やりましたかあさまぁ」
「ああ、よくやってくれた。ありがとう、本当にありがとう」
「いいえ、かあさまのがんばりがあったからです」
「えへへ、なでなでしてほしいですの♪」
「ああ、いくらでも撫でてやるぞ」

マザーが二人の頭をいとおしそうに撫でていると、少し離れた位置でLupinusが何かを言いたげな視線を向けているのが見えた。
両手の人差し指と人差し指を合わせてこすり、視線をすこし下に向けてもじもじしている。

「お前もおいで」

それを聞いて、Lupinusの顔がぱっと明るくなる。
二人が胸に飛び込んだのと同じ要領で、彼女もマザーの胸へと飛び込んだ。
彼らの、長年の夢が実現した瞬間だった。

システム管理権限の移行。今まで何度も試し、何度も失敗し、時にはメインシステム側のプロテクトからひどい仕返しを受けてパーソナルデータに危険が及びかけたことさえあった。
彼女たちの努力が、実を結んだ。これで、長く続いた戦争に終止符を打つことができるかもしれない。
人の子が母親にするのと同じように、マザーの作った三人の娘たちは、マザーの胸でうれしそうにはにかみ、喜びを分かち合っていた。

その様子を、遠くから見つめているものがいる。
そのことにいち早く気づいたのはLupinusだった。

「誰」

Lupinusはマザーの胸から顔を上げる。コントロールルームの入り口。
部屋の光の届かぬ暗がりを睨む。
Lupinusの様子に、少女二人も何事かと入り口に顔を向ける。
金属質の床を踏む音が、ゆっくりと近づいてくる。
しだいに、男の全貌が明らかになってくる。

レジスタンス兵に支給されている標準装備のアーマー姿。
ドミニオン用に作られた鎧で、背中と臀部付近には穴があり、そこから翼と尻尾を逃すような構造になっている。
その用途どおりに、髪と同じような黒い翼と尻尾が背後で揺れていた。
長めの髪は、後頭部で縛られて鎧に絡まないようになっている。

男は切れ長の瞳を弓なりにゆがめ、おまけに口の両端も上げた笑顔というにはあまりにも不気味な表情をしている。
取って付けた顔という言葉は、この男のためにある言葉だと思いそうになるほどに。
その男は間を取った拍手をすると、大げさな身振りをしながら言葉を発した。

「実に感動的な場面ですなぁ。ああ、失礼。親子の水入らずを邪魔しましたか?」

邪魔をしたか、と聞いてくるわりには配慮をするつもりなどまったく無いように思えた。

(かあさま、こいつ......怖い)

おびえた顔のまま、姉妹はマザーの胸に顔を戻すとつぶやく。
二人の姉妹とは対照的に、Lupinusだけは抱擁から抜け出し、マザーの隣で男を睨んだ。
Lupinusは三姉妹の中でも、マザーと他姉妹を警護するために作られた戦闘用DEMである。
彼女が異変を察知するということは、自分たちになんらかの脅威が迫っているということと同意だ。

「申し遅れました。私はレジスタンス軍に所属しているジブルというものです。以後お見知り置きを」
「レジスタンス兵か......」
「はい、リーダーからの指示で、計画の進捗を。リーダーも顔を出したかったようなんですが、あの方もいろいろとご多忙な方なので。こうして私が連絡員としてこちらに出向いたというわけでして」
「定時連絡は、この前済ませたはずだが?」

男の様子に、妙なものを感じとって腕の中の娘たちと後ずさる。
定時連絡は、ここメインコントロールルームでつい先日行われたばかりだ。
DEMに対して深い憎しみを持つものは、レジスタンス内外問わず多い。
彼らの侵略行為も、メインシステムに自由意志なく無理やり従わされていたからだと言ったところで、そんなものは親族や恋人、友人を奪われたものたちからすれば言い訳にすらなり得ない。
そんな中で、レジスタンスの一部がマザーたちとつながりを持っている事が公になれば、余計な混乱を招くことになるのは想像に難くは無い。
だから今まで、連絡はリーダーと彼の信頼の置ける兵士たちとなど、限られた人間に限定していた。
なら、リーダーが新しく抜擢した連絡メンバーの一人なのだろうか。そう思うのが普通なのかもしれない。

だが、マザーは、男に対して妙な違和感をぬぐえずにいた。
今まで、彼の送ってきた兵士は、どれも礼儀正しく紳士であった。
娘たちも、彼らには懐いていたし、彼らも彼女たちには優しくしてくれていた。
しかし、いまのこの娘の怯えよう。そして今までに無い偉くなれなれしいその態度に、言いようの知れない何かを感じる。

「まぁまぁ、こちらもいろいろとね。急かすつもりはないんですけど、あと少しだと聞いていても経ってもいられなくなりまして」
「ついさっきひと段落ついたところだ」
「ほう、して、その効果のほどは?」
「悪いが、そう簡単にはいかん。DEM達を動かしている管理プログラムに直接介入し、大幅な改変をしなければならない。今すぐに、とはいかないだろう」

マザーは正直に、現状を述べる。
その間も、目の前の男は仮面のような笑顔を崩そうとはしない。
自分たち機械よりも、機械のようだと思った。

「そうですか、少し先、ね」
「それに、もう少し検証もしたい。バグが出てしまってはあらぬ方向へプログラムが動く可能性がある。メインシステム......やつに対抗するのには少しでも完成度が高いほうがいい」
「検証、ああ、大丈夫です大丈夫です。効果の検証ならば、こちらで致しますので」

指を鳴らす。

男と、マザーたちの間に、突如人が現れる。冒険者の扱う、隠蔽スキルの一つだ。
コマンドーと思しき男が、迷彩柄のズボンのポケットに手を突っ込む。
次の瞬間にはナイフが手の中に出現し、こちらに向かって飛び掛ってくる。
目の前の男に、気をとられすぎた。これだけの接近をゆるすとは。
マザーはとっさに娘たちをつれて距離をとろうとする。

「ウグッ」

男はマザーの腕にナイフを突き立てた。
循環オイルの飛沫があがった。
マザーが苦痛に呻き、腕の力を緩めた隙に、男は二人を引き剥がす。
連れ去った姉妹の頭を、床に押し付けた。

「嫌っ、離して!離しなさい!」
「かあさまっ」

暴れる少女たちを、男は容赦なく床に押し付けて圧迫する。
二人が苦しそうに呻く声が、マザーの耳に届いた。

「Clover!Freesia!」
「......!」

今度はLupinusの真横にもう一人男が出現し、取り押さえようとしてくる。
しかし、迫る手を弾かれたあと拳を打ち込まれ、男はもんどり打って倒れこんだ。
そのまま、Lupinusは二人を解放しようと行動を起こすが

「おっと、動くなよ。動けばこのかわいい娘らの頭が転げ落ちるぞっ」

男に取り押さえられている少女に、これ見よがしにナイフを首に押しあてるジブルの様子をみて、動きを止める。

「貴様っ」
「ははは、いい表情だ。実にいい。その怒りと絶望に満ちた顔。......こいつら二人の首が落ちたらいったい次はどんな表情をしてくれるんだろうねぇ」
「ひっ」

怯えて短い悲鳴をあげる姉妹の頬を、ナイフの腹でなぶる。
その様子に、マザーは腹の底が急激に冷えていく感覚を覚える。
男に対する妙な違和感は、いま恐怖という形を成して、自身の体を縛っている。

「やめろっ、やめてくれ!頼む、それだけは......何が望みだ。私に出来ることなら」
「なぁに、簡単な話だよ。お前のコアをよこせ。そのDEMを操る力を会得した、貴様のコアをな!」

姉妹の解放を願うマザーの様子を、面白いといった様子で見つめるジブル。
彼の切れ長の瞳が見開かれた。
次の瞬間、彼女の首に何かが食い込み引き裂く。
電動チャクラム。本体の周りについた細かい刃が、投げられたのと同時に起動し、微振動を起こして触れたものを容易に切り裂く。今の一撃は、人間で言えば頚動脈付近を思いっきり切り裂かれたに等しい。
呻きながらもマザーはチャクラムを引き抜く。
循環オイルが派手に噴出し、白と銀の映える服を汚していく。
しかし、すぐにそれはとまった。
内部のナノマシンが異常を感知して最接合を試みたからだ。
そんな事などさせるかと言うように、間髪を要れず、またもチャクラムが放たれる。
先ほど塞いだばかりの辺りを、またも切り裂かれてしぶきが上がる。

「ガッ、グウッ......」
「かあさまっ!」
「お前も動くなよ、二人がどうなってもいいのか」
「Lupinus、戦って。あたしたちのことは良いから、お願いLupinus!」
「お願い、このままじゃ。このままじゃ......Lupinusぅ」
「......だめだ、抵抗するな。Lupinus......グゥウ」

CloverとFreesiaの願いを受け入れ、今すぐにこの男たちを倒すべきだとも思う。
しかしそうすれば二人は破壊され、マザーは悲しむ。
だがこのままではマザーは破壊されてしまう。
己が母親の痛々しい姿と、二人を人質にとられ行動できない自分の無力さに、Lupinusはただ唇をかみ締めることしかできない。

「おっと、目を瞑るんじゃない。よく見ろ、お前たちのかあさまの首が落ちるその瞬間をなぁ」

二人の姉妹は、目の前の光景から目を背けたくて眼を瞑ろうとするが、ジブルに髪をつかまれ頭を無理やり引き上げられる。
足元にまで飛んでくる母親の循環オイルに、少女たちはおもわず悲鳴を上げる。

「ガッ、グゥオオオ......」

接合が追いつかない勢いで切り裂かれ続け、頭部が揺れだす。
首を押さえていた手が、力なく落ちた。
それを合図とするように、彼女の頭部が一切の支えをなくして床へ落ちていく。
落ちてゆく前に、可変の解けた頭部が、青い瞳をした女性のものから白銀の巨龍のものへと変化していく。

「いやぁ!かあさまっ、かあさまぁ!」

しかし、床に頭が着く直前、それは起こった。
マザーの頭部が急に重力から開放されたように浮き上がり、その瞳が淡い青色を帯びて発光する。

「何だ、何が起きているっ」

銀龍の頭部が咆哮をあげる。
それに呼応するようにコントロールルーム一帯を覆うほどの、巨大な魔方陣が発生した。

ジブルと男たちは、突然の出来事に辺りを見回す。
青、赤、黄、緑、知る限りの全ての色に、それは明滅を繰り返した。
色の中心にいるのは、ドラゴンの白銀の頭部。
ジブルはとっさに頭に腕を伸ばすが、指が触れるという瞬間に強烈な電撃に襲われて腕を引っ込める。
突如、白銀龍の頭部から、8つの光が空に向けて放たれた。
向かった先にはすべて小さな魔方陣があり、それらに全ての光は飲まれ、コントロールルームから姿を消していく。

「くっそ、何をしやがったこいつ!」

ジブルが結われた長髪を乱し、憎らしげに叫んでいる。
唖然として、その光景を見ていた姉妹に、ふと声がかかる。自分たちが愛してやまない、かあさまの声だった。

(よく聞けお前たち、今私のコアを分割し異世界に放出した。お前たちも、早く逃げるんだ......いいな。ああ、ルクス、リリ、Lupinus、Clover、Freesia......愛して、いるよ。)

そこまでを言い終わると、三姉妹の体を、先ほど8つの光が消えた先と同じような魔方陣が現れ包んでいく。

しかし、転送される直前になってLupinusだけはそこから飛び出した。
CloverとFreesiaが何かを叫び腕を伸ばしていたが、その声は魔方陣の消失とともに失われる。
マザーの最後の愛を受けることを拒んでも、Lupinusは絶対にやり遂げなくてはならないことがあったからだ。
姉妹を人質にとり、愛する母を殺したあいつを、絶対に殺す。
守護するものを救い出せず、守りきれなかった自分に対するケジメ。
あいつだけは、絶対に許せない。

「転移魔法だとぉ。ちぃ、最後に下らん抵抗なんぞしやがってっ」
「貴様ぁ、よくもかあさまを!」

未だに毒ずくジブルに向けて、Lupinusが飛び込む。
両脇からさっきの男たちが迫る。
短剣を突き込んでくる手をからめとって、力の限りに締め上げると男の腕がありえない方向に捻じ曲がる。
曲がったままに力を加え続けていたら、折れた骨が肉を突き破って出てきた。そのまま腕を引きちぎって捨てる。
自身の血の中におぼれながら、男は激痛に叫び声を上げて体を跳ねさせている。
顔に血の飛沫が飛びつくが、払うのもわずらわしいと捨て置くと、次の標的に狙いを定める。
さっきマザーにチャクラムを投げた男が、ギロリと睨まれて一瞬怯えた。
無理はない。彼女は今、それこそ完璧な殺戮兵器と化していた。
血しぶきを浴びてなお、表情ひとつ変えないその様子には、誰でも狂気を感じるだろう。
同じようにチャクラムを投擲する。だが、それらの全ては彼女には届きはしない。
ソリッドコーティング。あらゆる物理攻撃を遮断する絶対不可侵の防御シールド。
投擲使いが驚いている隙に、彼女は胸に飛び込むと懇親の力をこめて拳を突き出した。

「ソニックブレイカー」

何の感情も感じられない平坦な声がした。
轟音と衝撃が、男の腹の辺りで爆発する。音速をも超える突きをもろに食らって、男は壁に向かって飛ばされていく。
壁に激突すると、少々地鳴りがして、天井からぱらぱらと塵が降ってくる。

「あとはお前だけだぁ!」

Lupinusは紫の長髪を振り乱し、赤いドレスを赤黒いもので上書きしたまま、ジブルに飛び掛ろうとする。

「スパークボール」

彼の後ろの空間が、ゆがんだ。光学迷彩で隠れていた何者かが出現する。
空間から、細く、しかし頑強なロボットアームが突き出されると、黄色い雷を纏った無数のつぶてが飛来した。
眩い閃光がLupinusの視界を占領する。
あと数センチ、彼の顔面に拳が直撃するというところで、彼女はその全てをもろに食らって倒れこんだ。
対人や、対モンスターなどの動きを封じるのに良く使われる電撃弾。
5発6発程度なら、何とか持ちこたえられたろうが、いま彼女に打ち込まれたのはその倍の量だ。
人間や動物ならば、命に関わる。

全身がしびれて動けない。
視界にノイズが走り、システムエラーの文字が悪夢のように躍っている。
あと、少しだったのに。悔しくて、むなしくて、コアの辺りがズキズキと痛む。
苦しい。苦しい。......くやしい。
いろんな感情が錯綜する中、Lupinusの意識が急激に闇の彼方へと落ちていく。
砂嵐が意識を支配して、そのままシステムダウンという真っ赤な文字を残し彼女の意識は完全に消失した。
突如、動かなくなった彼女の顔に、靴底が押し付けられる。ジブルだ。
口角をあげて、ふっと息を吐き出すと、汚らしいものを見るような眼で少女を睨んだ。
辺りを見れば、血の池の中で泡を吹いているやつ、いまだに床上でうずくまってびくびく体をはねさせているやつ、広すぎる部屋の端の壁でピクリとも動くことないやつ

「まるで、地獄絵図だな」

そう、ジブルは吐き捨てた。

「あーあー、三人も使い物にならなくしやがってこいつめ」

最後のこいつめ、のところで、靴底に力が加え彼女の頭を圧迫する。

「これから如何なさいますか。ジブル殿」

生き残ったコマンドーの一人が、姿勢を正してジブルに向き直る。
しかし、彼は部下の呼びかけを無視して、ひたすらに考え事をしていた。

(さっきの魔方陣は、たしかに転移魔法のそれと同じもの。だがあのガキ共を転送しただけではない。その前に頭から何個か光が散ったが......)
「......まさか」

彼は、今は何の力もなく転がっているだけの、マザーの頭へと駆け寄る。眉間の辺りに工具を突っ込んで、表皮をはがす。
さらに頭蓋フレームを電動チャクラムを押し付けて切り裂くと、そこには何かが嵌っていた穴があった。
中央の一つだけ刺さっているCPUのような部品を取り囲むように、開いている。その数、全部で8つ。
やられたと、ジブルは思った。マザードラゴンは、自分の機能を利用されないように、コアそのものを異世界に放出したのだ。多分この穴にあったものがそうなのだろう。

「ふざけやがって!」

恨めしげに龍の頭部を睨むと、苛立ちのままに工具を床に投げつける。
乾いた音が辺りに響く。乾いた音に乗っかるように、先ほど彼に指示を青いだ男が向かってくる。

「ああ、指示を伝える。お前たちは、ここでマザーのコアを解析し、プログラムとやらの起動準備をしておけ」
「了解いたしました」
「俺は、その鍵となるコアを集めてくる......そうだな。あと、こいつを使えるようにしろ」

背後で控えていた部下の男に応えた後、目の前で意識を失った少女の顔を、靴で小突いて上を向かせる。
絶望にゆがんだ顔のまま、虚ろな瞳が虚空を見つめている。

「さっきの力を見ただろう。こいつはマザー直属の戦闘特化型DEMだ。使えればなかなかに面白い事になるぞ......。少々想定外な事もあったが、まぁいい。俺のやることは一つだ」

少女の瞳に移りこむ彼の顔は、笑っている。
先ほどまで喜びに満ちていたマザールームに、次々と鎧姿の老若男女が押し寄せ、彼女たちの幸せを蹂躙していく。






つづく
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